音をテーマにしたミステリーツアー

date:1997.10.27

 環境庁が支援している活動の一つに「子供エコクラブ」という活動がある。これは、地域ごとにグループを作って、環境教育を行うためのワークショップを支援する活動である。金沢にもいくつかのクラブがある。そのうちの一つ「タイムマシンクラブ」というところで音をテーマにしたイベントを実施することになった。市の環境保全の方が実際には支援に携わっている。私も市の方を仲介としてこのイベントに参加することができた。(しかも、「なぞのT先生」という子供たちに指命を申し渡す役までいただいてしまった。)

 ゲームの構造は2重になっている。基本となるのは決められた言葉をみつけ出すための作業で、チームに分かれて競う。各チーム別に最初に手渡された地図上のポイントをめぐり、そのポイントで指令書では空白になっている数字を見つけて行く。その数字と解読表を照らし合わせて文字を導き出す。すべてのポイントで見つけた文字を並べ替えて、ある言葉を当てる。

 この基本構造に音をじっくり聴くための仕掛けを絡ませる。いくつかのポイントで音を聴き、「何が」「どんな風に」聞こえたかを記入して行く。これらは最後に、一番いろんな音を聴いたチームには大賞、各地点でおもしろい音の表現をしたチームにはユニーク賞として表彰し、文房具を賞品として進呈した。

 子供は遊びの中からいろんなことを感じ取って行く。これは昔も今も同じだ。ただ、均質化、人工化した都市の中で、塾やTVゲームに日常を奪われている子供もいるかもしれない。なかなか音や自然の多様性を感じることができないでいるかもしれない。多様な体験をしてもらうためにも、こういうゲーム仕立てのワークショップも有効ではないかと思う。私自身、一緒に参加してとても楽しかった。

 あえて問題点をあげるとすると、子供がゲームの方に熱中しすぎると音を聴く方がおろそかになってしまうので、その辺の案分が難しい。今回は言葉を見つけるまでの時間の早さは関係ないとしながらも、子供たちは自然と早くやろうとしているような雰囲気があった。このへんは事前に十分説明しておかなければならない点だ。

 また、今回のゲームを行った地域は、自然の音、都市ならではの音、静かなところ、にぎやかなところ、と色々変化のある地点が存在した。そのため、聴いていても飽きることはなかった。音の相として十分多様でないと面白さがなくなりそうである。ゲームの立地には注意をするべきだろう。

 以下に、当日の模様を記す。


 ゲームのスタート!

 チームごとにまずはポイント探し。

 金沢市の保存樹であるケヤキの木の下のポイントに到着。聴診器を使って自分の体の音と、ケヤキの木から聞こえる音を表現してみる。

 数字を探している。

 神社の石段に座って、周りから聞こえるいろんな音を、約1分間じっと聴いてみる。大きい音に注意が引きずられて、なかなか小さい音にまで注意が行き届かないような様子もうかがわれた。

 今回は3、4人ずつ7つのチームに分かれ、それぞれ違うコースをたどった。途中で違うチームとすれ違う。

 路地を抜けてつぎのポイントへ。

 ポイントに控えている大人の人から、子供が建物についてお話を聞いたりもした。

 ここでも音を聴く。

 このポイントは浅野川のそばの緑水苑という公園。湧き水が少なくなっているのか、水は濁っている。でも、周りに茂る木の梢は高く、秋風に吹かれてさらさらと枯れ葉が飛んで行く様子が美しかった。公園の奥ではガマガエルもいた。

 この地点が最後になったチームは、みんなで相談して隠された言葉を一生懸命見つけようとしていた。

 ゴール後、みんなどんな音が集まったか集計した。これで賞品が決まる。

 クラブへの出席表はビンゴカードになっている。


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